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長野地方裁判所 昭和58年(わ)32号 判決 1983年9月12日

裁判所書記官

内山公二

本店所在地

長野市大字中御所字九反七五三番地の三

法人の名称

西野産業株式会社

代表者氏名

右代表者代表取締役 西野武平

本店所在地

長野市岡田一二六番地四

法人の名称

株式会社総合開発設計社

代表者氏名

右代表者代表取締役 金井英一

本籍

長野市大字中御所七五三番地三

住居

右同

会社役員

西野武平

昭和三年七月三〇日生

右の者に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官足立敏彦出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人西野産業株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、

被告人株式会社総合開発設計社を罰金五〇〇万円に、

被告人西野武平を懲役一〇月に

各処する。

被告人西野武平に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一  被告人西野産業株式会社は、長野市岡田一二六番地四(昭和五六年三月二五日以降は同市大字中御所字九反七五三番地の三)に本店を置き、土木工事、建築工事等を目的とする資本金五〇〇万円の法人であり、被告人西野武平は、右会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人西野は、右被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的で、経費を過大に計上するなどして簿外資金を蓄積するなどの不正の方法により所得を秘匿した上

一  昭和五四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人西野産業株式会社の実際所得金額が五、四八六万六、五八三円(別紙修正損益計算書(一)参照)あったにもかかわらず、同五五年二月二九日、長野市西後町六〇八番地の二所在の所轄長野税務署において、同税務署長に対し、所得金額及び法人税額がいずれも零円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、同会社の右事業年度の正規の法人税額二、一一〇万三、七〇〇円を逋脱し

二  同五五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における右会社の実際所得金額が三、九七〇万一、五九六円(別紙修正損益計算書(二)参照)あったにもかかわらず、同五六年二月二八日、前記長野税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、四九二万三、四四一円であり、これに対する法人税額が五〇一万八、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、同会社の右事業年度の正規の法人税額一、四九二万九、七〇〇円と右申告税額との差額九九一万一、二〇〇円を逋脱し

第二  被告人株式会社総合開発設計社は、同市岡田一二六番地四に本店を置き、一般測量、土木設計等を目的とする資本金一、五〇〇万円の法人であり、被告人西野武平は、右会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括掌理していたものであるが、被告人西野は、右被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的で、経費を過大に計上するなどして簿外資金を蓄積するなどの不正の方法により所得を秘匿した上

一  昭和五四年七月一日から同五五年六月三〇日までの事業年度における被告人株式会社総合開発設計社の実際所得金額が五七〇万四、三八一円(別紙修正損益計算書(三))あったにもかかわらず、同五五年九月一日、前記長野税務署において、同税務署長に対し、所得金額及び法人税額がいずれも零円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、同会社の右事業年度の正規の法人税額一四九万三〇〇円を逋脱し

二  同五五年七月一日から同五六年六月三〇日までの事業年度における右会社の実際所得金額が八、六六一万五、七七七円(別紙修正損益計算書(四)参照)あったにもかかわらず、同五六年八月三一日、前記長野税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四、七五二万四、五七五円であり、これに対する法人税額が一、九四七万九、〇〇〇円である旨の法人税確定申告書を提出し、もって、同会社の右事業年度の正規の法人税額三、五九五万三、二〇〇円と右申告税額との差額一、六四七万四、二〇〇円を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人西野武平の当公判廷における供述

一、同被告人の検察官に対する昭和五八年二月八日付供述調書

一、宮澤利子、鴇沢悦也の検察官に対する各供述調書

判示第一の事実につき

一、被告人西野武平の大蔵事務官に対する同年一〇月一四日付質問てん末書

一、同被告人作成の同年同月七日付答申書

一、伊藤智の検察官に対する供述調書(不同意部分を除く)

一、長野税務署長南雲精一作成の証明書(西野産業株式会社に関するもの。以下同様)

一、大蔵事務官高橋敬作成の脱税額計算書及び法人税決議書各二通

一、大蔵事務官高橋敬作成の

1. 外注費調査書

2. 減価償却費調査書

3. 受取利息調査書

4. 支払手数料調査書

5. 繰越欠損金当期控除額調査書

6. 未納事業税認定損調査書

7. 現金調査書

一、大蔵事務官岩崎賢外一名作成の第一勧業銀行長野支店調査関係書類

一、大蔵事務官今井公二外二名作成の長野信用金庫石堂支店調査関係書類

一、佐藤輝一(二通)、福島敏寛(二通)、宮尾祥平、小林絃三、小林節子、塚原重俊(二通)、玉木宥二、塩入秀夫、牛越光由の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、登記官作成の昭和五八年六月一日付商業登記簿謄本

判示第二の事実につき

一、被告人西野武平の大蔵事務官に対する昭和五七年一一月一七日付、同月一九日付各質問てん末書

一、池田昭一、村上真治の検察官に対する各供述調書

一、長野税務署長南雲精一作成の証明書(株式会社総合開発設計社に関するもの。以下同様)

一、大蔵事務官高橋敬作成の脱税額計算書及び法人税決議書各二通

一、大蔵事務官高橋敬作成の

1. 土地仕入調査書

2. 期末仕掛品調査書

3. 繰越欠損金当期控除額調査書

4. 外注費調査書

5. 期末商品調査書

6. 期首仕掛品調査書

7. 未納事業税認定損調査書

一、田中宏一、池田昭一(二通)、村上真治の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、登記官作成の昭和五八年二月二五日付商業登記簿謄本

(法令の適用)

一、罰条

1. 被告人西野産業株式会社の判示第一の一、二の各事実及び被告人株式会社総合開発設計社の判示第二の一、二の各事実につき

法人税法一六四条一項、一五九条一項(ただし、判示第一、第二の一については、昭和五六年法律第五四号による改正前のもの)

2. 被告人西野武平の判示第一の一、二の各事実及び判示第二の一、二の各事実につき

法人税法一五九条一項(ただし、判示第一及び第二の一については、前記改正前のもの。懲役刑選択)

一、併合罪加重

1. 被告両会社の前記各事実につき

刑法四五条前段、四八条二項

2. 被告人西野武平の前記各事実につき

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も重い判示第二の二の罪の刑に加重)

一、執行猶予

刑法二五条一項(被告人西野武平の関係)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 尾崎俊信)

修正損益計算書(一)

自 昭和54年1月1日

至 昭和54年12月31日

<省略>

<省略>

修正損益計算書(二)

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月31日

<省略>

<省略>

修正損益計算書(三)

自 昭和54年7月1日

至 昭和55年6月30日

<省略>

<省略>

修正損益計算書(四)

自 昭和55年7月1日

至 昭和56年6月30日

<省略>

<省略>

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